規制の方法は、仕事の種類やその企業の意志決定に関する伝統的な慣行によって、労働者たち自身の自治的な申し合わせ、職場懇談会での発言、労使協議会での討議などさまざまであろう。
今ではほとんど例をみないが、もちろんできれば働く者のニーズを組合支部レベルの団体交渉の要求とすることがベストである。
規制の要因項目は多岐にわたる。
代表的なものに絞り込んで考えてみよう。
作業量・要員・技能習得期間まず、なんといっても作業量(ノルマや「目標」)と要員の問題がある。
ある意味ではこれも時代のコンセンサスとなった「ゆとり」は、労働時間短縮の文脈で語られることが多い。
しかしもちろん「時短」が、とくに所定外労働時間の削減や有給休暇の「消化」が思うように進まず、年間】800時間の目標達成の時点がずるずると引き延ばされているのは、もうひとつの時代のコンセンサスとなった能力主義管理のもたらす過重ノルマや要員削減のためである。
だからゆとりの必要性を説く「識者」や経営者や組合幹部が、そしてゆとりを切実に希望するサラリーマンまでがノルマと要員の問題に着目しないのは、欺隔でなければあまりにもものが見えないというべきであろう。
そればかりではない。
高齢者と女性に働き続けうる職場を用意する必要性は、これまたグローバルな規模での時代の良識である。
それなのに現代日本の職場では、ほとんど規制されていない過重ノルマと要員のきりつめが直接的に、あるいはそこに必然化する長時間労働を通して間接的に、高齢者や女性が「能力あり」と認められて肩身の狭い思いなく働き続けてゆくことをきわめてむつかしくしているのである。
私はもちろん、大学教員が一週間に担当する講義のコマ数はどれほどであるべきかの問題ほどの確信をもって、他の職場におけるノルマや要員の望ましい水準について具体的に語ることはできない。
鉄鋼業の炉前作業のチームメンバー数、住宅セールスの契約金額ノルマ、コンベア作業のタクト数(スピード)、夜勤のナースの配置人数など、それらの望ましい、あるいは少なくとも耐えうる水準がどれほどかについては、なによりもまずそこで働き続けてゆく人びとが発言し決定に参加すべきなのだ。
しかし一般的に言って、ノルマの達成いかんで処遇が大きく変わるということを前提とするならば、作業量・要員を決定する経営権は、働く生活者の時代のコンセンサスに則した次のニーズによって制約を受けるべきであろう。
とくに頑健でないふつうのサラリーマン男女でも心身の健康を損うことがない。
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