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「社長なんて器じゃない。

本当に驚いた」張は、社長に指名された当時の心境をこう語っている。 T社生産方式をキチンと伝承する仕組みをつくりあげるなかで、Oの敷いた改革路線を引き継ぐ役回りが醸成されてきたのである。
仕組みの継承者張は社長職を6年続け、2005年2月、後任社長に副社長のWの就任を発表した。 Wは、記者会見で自らのセールスポイントを聞かれ「チームで目標を掲げてまとめあげていくこと」と語った。
「これまで経験してきたどの部署でもしっかりとした目標を立て、よいチームをつくることが大事だと思ってやってきた。 人材の育成も含めたよいチームづくりが必要と考えている」海外経験も少なく驚きが少なかったトップ人事だったが.3代続く非T田家の社長に要求されたのはまさに、カリスマではなく、仕組みを継続する役割だった。
1964年に慶応義塾大学を卒業し、T社自動車に入社したWは、調達、生産などの主要担当し、専務時代の2000年から原価の平均30%削減を目指すグループ総ぐるみのコスト削減活動「CCC21」を展開し、3年間で1兆円の削減を実現させた。 この時の成果が社長につながった。
「結局われわれがやってきたのは、そうした細かい改善の積み重ねなんですよ。 地道に愚直に徹底的にというのがテーマだと、僕はいつも言っています」「T社は人を大切にして、あらゆるムダ・ムラ・ムリをなくして作業の効率や仕事のやりやすさを追及する。
そして人のやりがいを最大限に引き出すことを目的にしています」「T社の工場内をご覧いただくとわかるんですが、至るところに、どうしたら不良率をゼロに近付けられるか、作業時間を30%縮めるにはなにが必要か、といった課題が紙に書いて貼ってあります。 課題や問題点とともに、その原因と対策が表示されていて、単なる掛け声でもマニュアルでもない。
なぜ、という問いが書かれているのがミソです。 あとは自分の頭で考えてくれ、というわけです」T社が2004年3月期で純利益1兆円を突破した時、「T社がGMを抜く日」という緊急討議特集を組んだ雑誌のなかで、副社長のWはこう発言している。

学生時代ワグネルソサエティで歌唱活動に没頭していたWは、T社入社後もきちんとした対応で人格、識見に対する周辺の信頼を得た。 T社ウエイの伝道師を自任するWは、トヨタがこれまで築いてきた路線をはずれないようきちんと先導して、後任にバトンタッチするのが役割だ。


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